こんにちはリストラ’TETSU’飲食FCブログです。
サービス改善活動「日本的なサービスに対する価値観について」
「お客様は神様です」
むかし「お客様は神様です」というフレーズで脚光を浴びた三波春夫さんという歌手がおられました。このフレーズが日本のサービス業にもたらした影響は計り知れません。特にお客さん側の潜在意識に入り込み、お店に対する要求水準が高まるとともに、それにこたえることが出来なかった時のお店に対する評価がとても厳しいものになりました。この意識が日本のサービスレベルを引き上げることに繋がった反面、お客は神で店の従業員はそれに仕える下僕(げぼく)のような意識を植えつけることにも繋がったように思います。
約20年前、はじめて海外(オーストラリア)のレストランで食事をしたときに毅然とした態度でスマートなサービスを提供するスタッフの姿をみて、日本との違いを思い知らされたことがあります。日本ではお客にへりくだる接客が多いように思いますが、オーストラリアのそれは、フレンドリーで対等な雰囲気で友人の家に招かれて、最大限のもてなしを受けているような感覚でした。それでいて馴れ馴れしさはなく、きちんと線引きもされていて、余計な干渉はされない心地よさがありました。帰りにはきちんとそのサービスへの対価をチップとして支払うことも当たり前に行われています。
じつは三波春夫さんのオフィシャルサイトでも、生前のインタビューでお話になったことが記載されていて、「お客様は神様です」という言葉の真意は「お客様を神様とみて、歌を唄う」ということであり、「お客様は神だから徹底的に大事にして媚びなさい。何をされようが我慢して尽くしなさい」などと発想・発言したことはまったくありません。と説明されています。
しかし、残念ながら三波春夫さんの発言の真意は届かず、「お客=神」という考えが独り歩きして、令和に入った今でも根本的なお客さん側の意識は変わっていません。お客さんのクレームを受け付けるカスタマーセンターの部門長を兼務したことがありますが、そこに寄せられるクレームの中には、お客さんの発言の中に、露骨な暴言や不当な要求を含むものが少なからずあり、一般社会では、恐喝や名誉棄損といった犯罪行為とされるようなことまでありました。
クレーム対応の現状
私自身もクレームの対応で30代の頃に、お客さんの家を訪た時、農業用水池に放り込まれそうになり、命の危険を感じるほどの暴力行為を受けたこともありますし、黒塗りの車の中に監禁されて代償を求められたこともありますが、いずれも間一髪逃げ出せたものの、警察に被害届を出すことはしませんでした。当時は神様であるお客様を訴えることに、会社側も含めて躊躇する風土があったように思います。
しかし、そういったことを経験したからこそ、その後、管理職となってからは、従業員が正当な主張をしていると判断した場合は、即、警察に相談するように促し、もしもそれでも収まらない場合は会社として争うことも辞さない覚悟で対応しました。幸い、在任中に大きな問題に発展することはありませんでした。結局、本部側が毅然と対応すれば、過度な要求をされる人からしても、何も得られないということが分かるので、それ以降は何も言ってこられることはありませんでした。
サービスの対価
日本のサービス業に一足飛びにチップ制を導入しても、上記のようなお客さんに対する意識的な違いがあり、許容されないと思いますが、旅館業のように料金に一定のサービス料を設けて、それを従業員全体に還元するといった日本的な横並びや連帯意識に馴染むやり方もあると思います。
政府が日本企業の生産性を高めて労働者の給料を上げていこうというのであれば、内需の場合、人口減が確定的な日本においては一人当りの支払額を増やさない限りそれは成し得ません。企業間競争によるパイの奪い合いだけでは、競争に勝利した企業の収入が増えたとしても、敗れた側の企業の収入は減るので、結果的には同量の付加価値しか生み出しません。全ての企業が付加価値を高めれば良いと考える方もおられるかも知れませんが、バブル崩壊後、30年以上にわたってそれに取り組んできた結果が現在の状況です。
サービス業の生産性改革
企業間競争に頼っていてはいつまで経ってもこの問題は解決しません。政策的にサービス料等の制度の導入を後押しし、労働者人口の70%を占めるサービス業に従事する労働者の所得を増加させ、それが内需を高め、消費が拡大し他の産業にも好循環をもたらすといったことが必要だと思います。
製造業は日本の強みで生産性が高く、サービス業はGDPでも7割を占めているのに生産性が低いと単に嘆いていても始まりません。「お客様は神様です」という呪縛を拭い去り、日本のサービス業を再定義する気概をもって、政策誘導するべきだと考えます。日本人のサービスの価値が正当に評価され、その対価が支払われ、日本の生産性向上に繋がっていくことを願っています。
Continue to next time


コメント