こんにちはリストランテ”TETSU”の飲食FCブログです。
前回までの飲食FCブログではフランチャイズチェーン(以下FC)に加盟を検討している側からの視点で、FC本部の選択方法についてのポイントをお話させて頂きました。今回からしばらくは飲食FCが担う役割や機能について、実例を交えて説明していきたいと思います。
FC本部が担う役割や機能については一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(以下JFA)がFC本部が守るべきこととして、簡潔にまとめた倫理綱領を発表しているので、それに沿って私が体験した実例や付け加えておきたいことについて書き進めたいと思います。ということで、JFA倫理綱領の大項目の順に説明させて頂きます。詳細についてはJFAのホームページに掲載されているので、そちらをご確認ください。
1.経験と実績による裏付け
つい先日、洋菓子業態でフランチャイズ展開を検討しているという経営者からご相談を受けました。5年ほど前にオフィス街で10坪ほどの洋菓子業態を出店し徐々に常連客が増加して対応しきれないほど繁盛してきたので、フランチャイズ方式で増店できないかというご相談でした。
今後、どのような立地で出店していくのか確認したところ、オフィス街は土日の売上が弱く、コロナ禍でリモートワークが増えたこともあり、将来性が心配なので、郊外の住宅地への出店を考えているとのことでした。
ということは、この段階ですでに倫理綱領1の「経験と実績による裏付け」がないことになります。オフィス街であったとしても、わずか1店舗の実績をもって「裏付け」とはいえません。オーナーは有名洋菓子店で10年間修業して独立されているので、パティシエとしての経験や実績があるとは言えても、店舗運営や出店ノウハウ等の実績があるとは言い難い状態です。
このようなケースでは、まずはモデル(実績)となる直営店を出店する必要が有りますし、同時に職人技を廃して(もしくは職人技の短期習得ノウハウを開発して)フランチャイズ展開に耐えうるパッケージに仕上げる必要があります。
新業態に対する情報が溢れかえっている現代においては、数十店舗の実績をつくってからフランチャイズ展開しているようでは、先に模倣業態を出店され後塵を拝することにもなりかねませんので、じっくり構えて取り組んでいる時間的余裕はありませんが、そうだとしても、1店舗の実績すらまともに示せない状態でのFC展開は無謀としかいえません。
以前、携わった焼肉チェーンでは繁華街のビルインと郊外のロードサイドタイプの店舗がありました。おなじ焼肉店でもビルインは飲料売上比率が高く、お酒の肴となる小鉢メニューも良く出ました。一方ロードサイド店はお酒よりもソフトドリンクの比率が高く、小鉢はほとんど注文されず、ご飯ものやお子さんが好むメニューがよくでました。
同じブランドの焼肉店であっても、売れ筋商品や客単価、原価率等は別の業態かと思えるほど異なります。さらにお客様が待って下さる時間や駐車場の有無、店舗の賃料など諸条件がそもそも違っています。こういった違いがある場合も「経験と実績」はそれぞれの立地タイプごとに必要です。洋菓子店の場合でもオフィス街と郊外では大きな違いがあるので、どちらも展開したいのであれば、両方の「経験と実績」が必要となります。
この「経験と実績」は最低限必要なものであって、これだけで十分というものではありません。フランチャイズ展開にとって不可欠なものをひとつ付け加えるとしたら、それはブランドに対する「共感」です。経済が右肩下がりで不確実性の高い時代にあって事業の成否は過去の実績通りにいくとは限りません。
来店型の事業でコロナがひとたび蔓延すれば致命的な打撃を受けるは周知の事実です。過去にも急激な円相場の変動やBSE(狂牛病)や鳥インフルエンザ、O-157(食中毒)死亡事件、飲酒運転の取締り強化など、食に関わることだけでも様々な問題が生じて、飲食FCは危機に直面してきました。
こういった危機に直面したときに堪え忍んで乗り越えることができるか否かは、多くの場合、このブランドに対する共感が分岐点になるように思います。無論、ブランドの収益力が最重要ではありますが、金銭的な繋がりは脆く、危機に直面すれば、簡単に崩れていきます。利益を上げて何店舗も出店していた加盟店が危機に直面した途端、大量閉店するということを何度も見てきました。
一方、ブランドの理念や方針に共感し、本部と共に理想を追い求めてきたようなフランチャイズチェーンはちょっとやそっとのことで、瓦解するようなことはありません。特にFC展開を始めた当初は本部のノウハウの蓄積が少なく、不安定な本部運営になりがちなので、そういったときにも、ブランドに対する共感の有無が、成否を分けるように思います。
では加盟店に共感してもらうには何が必要なのでしょうか。それはFC展開を志す企業のブランドに対する思いに他なりません。経営者だけでなく、従業員1人1人から滲み出てくるようなブランドに対する思いが必要です。そのために先ずは社長がブランドやFC事業に対する思いを明確にして、それを言語化し、従業員に伝え、実際の行動を通して、お客様に伝えていく、その先に加盟店の共感が生まれるのだと思います。
先が見通せない時代において、金銭的な損得だけで事業を展開してもその成功確率は極めて低いと思います。DXも大切ですが、大企業でもリモートワークからハイブリッド型(在宅と出社の併用)や従来型の勤務スタイルに揺り戻しが起きていることからも明らかなように、ひとは損得勘定を超えた貢献欲求や人間的な繋がりを必要とするものであり、そういった本能的な欲求はブランドに対する共感なくして起こりえないものだと思います。
今回はJFAの倫理綱領1の「経験と実績による裏付け」について考えてみました。また数値化や言語化しづらい「共感」ということについても触れさせて頂きました。次回は倫理綱領2の「正確かつ十分な情報提供」について考えてみたいと思います。
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