著書を読んで興味を持ち、同氏が塾長を務められていた盛和塾に入塾し、経営哲学を学び、真のリーダーシップについておぼろげながらでも感じ取ることができました。
盛和塾で学んだこと
稲盛氏が会社ではどうだったのか知りませんが、盛和塾では、非常に落ち着いた様子で、声は小さめで、話すスピードも穏やかでした。エネルギッシュというよりは、うちに秘めた闘志が、何故かこちらに伝わってくるような、独特な空気感をお持ちでした。
噛みしめるように発せられる言葉の節々に思い深さ、崇高さが感じ取れるので、引き込まれるように聴き入り、素直に受け入れることができました。
リーダーの発信力は声の大きさだとか、威圧的な態度ではなく、思いの強さをどれだけ言葉に込められているのか、ということが重要なのだと気づきました。
私自身は、声が大きいだけで、早口で滑舌も悪いので、とてもリーダーシップがあるようには思えません。それでも盛和塾で学んで、唯一改善できたとすれば、一言一言に目的や意義を考えて話すようになったことです。
リーダーシップの本質
リーダーシップとは目的を定めて、周りの人達に伝えて巻き込み、その実現に向けて自ら率先して行動する力です。リーダーシップは、仕事だけでなく、部活や趣味の集まり、さらに言えば家族といった組織でも発揮されるものです。
組織の3要素と言われる、「共通目的」「コミュニケーション」「貢献意欲」の最も中心となる共通目的を定めて、コミュニケーションをとり、貢献意欲を高めることで組織の効果を最大限に引き出すのが、リーダーシップです。
リーダーシップの発揮に必要な要素
稲盛氏のような特異な経営者は別として、一般的な人がリーダーシップを発揮するためには、何をすれば良いのでしょうか。長く企業経営に携わり、多くの管理職とともに仕事をしてきました。
また、直近の3年間は中小企業の中間管理職育成支援に直接的に関わってきて実感したことは、以下にあげる3つの要素を備えた人はリーダーシップを発揮できているということです。
1つ目は上述している通り、目的意識があることです。2つ目は会社の方針や予算について、自分事として捉えて部下に説明できること。そして3つ目は、率先垂範する行動力があることです。
➀目的意識を持ち発信する
日々の業務であれ、大きな新規事業のプロジェクトであれ、ひとつひとつの業務の目的を明確に定め、それを部下に伝え、業務に従事してもらうことで、業務品質は格段に上がります。
単なる作業だと思われてしまうと、気が抜けてミスも多くなるのはご理解頂けるでしょう。
さらに、目的の視座をどこに置くのかも重要です。上長の自己満足ため、課のセクショナリズムのため、部の予算達成ため、全社業績のため、日本経済のため、全世界の平和のため・・・。
リーダーの目指している理想が、高ければ高いほど、共感は得られやすくなります。しかし、あまりにも現実と乖離していると実現可能性が低く、本気度に疑念が生じます。
そういったバランスも考えつつ、より高い視座に部下を導くことが、リーダーシップの発揮に繋がります。
➁自分事として考える
社長として部門長や課長のレヴューを行っていて、はっきりと2分できるのが、自責思考か他責思考かの違いです。
毎月の予算進捗を確認すると、数値の報告については、同じような役職についている人であれば、大差はありません。良い時もあれば悪いときもあります。
しかし、数値以外の報告内容については、思考の違いが如実に現れます。
自責思考のリーダーは、問題点を内部要因から洗い出し、そして外部要因への対応策を論じます。
逆に他責思考のリーダーは、外部要因の問題点を長々と説明し出し、内部のことにはほとんど触れずに対策を論じ始めます。
年度の予算を割り振った場合でも、自責思考のリーダーは、会社から降りてきた予算であったとしても、しっかりと咀嚼し、自分の言葉で、部下に説明できるところまで、課題設定も踏まえて組み立てることが出来ます。
一方、他責思考のリーダーは、部下にまるでスルーパスを送るように、丸投げし、あとは宜しく状態で、予算達成に向けた課題設定は部下に任せて、自分は管理者だと言わんばかりの対応を取ります。
このようなリーダーの思考の違いは、いずれ結果に出ます。しかし、企業活動はそれほど単純ではないので、事業ごとの経済状況や取引先との関係等により、業績に現れるのにタイムラグが生じることがあります。
それでも、他責思考を続けていても、リーダーとしての力量は身につかないので、自責思考で、根気強く取り組むことが肝要かと思います。
➂率先垂範する
リーダーが率先垂範することは、中小企業にとって特に重要なことだと思います。大企業の場合、中途採用で管理能力の高いひとが現場の作業を知らなくても成果を上げるといったこともあります。
しかし中小企業では、現場と管理職の距離が近いので、現場力の無いリーダーはそもそも見透かされてしまいます。
また繁忙期に人手不足で困窮している現場の助けになれない上司は受け入れ難いといった声も聞かれます。
不慣れな業務に熟練する必要はなくても、チームの一員として汗を流す意思を示し、行動をもって周りに認められるといったことが、特に、中小企業のリーダーには求められています。
これは、考えようによっては中小企業ならではのやりがいだと思います。
終わりに
あらためて組織の3要素「共通の目的」「コミュニケーション」「貢献意欲」を見ると、まさに中小企業のリーダーに求められる人物像と一致します。
働くことの本質的な意義は、組織で必要とされる人に成長することではないでしょうか。



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