飲食業として一緒くたにして扱われることが多い外食と中食(なかしょく/惣菜・弁当販売)ですが、それぞれに適するマインドは全く違います。
外食と中食の両FC本部で10年以上の実務を経験し、業務適性については明確に把握することができました。これから、飲食業でのFC加盟を検討する方は是非、ご確認下さい。
また、コンビニやフィットネス、物販等のFC加盟を検討している方も、対象事業をイメージしながら、適性を考える機会にして頂ければ幸いです。
飲食業と一括りにされることの多い外食と中食ですが、中身は全く異なります。私も外食企業から中食企業に転職した際は、この違いに適応するのに約3年かかりました。
共通言語が違うというか、発想の根本が違うというか、それはもう大きな隔たりでした。勿論、どちらかが良くて、どちらかが悪いといったことではなく、好みや適性で見解が分かれるものです。
外食と中食の根本的な思考回路の違い
【外食の場合】
アルバイトの採用面接をしていると「どうして当店で働きたいんですか?」と質問すると応募者の多くは「ひとと接する仕事がしたいんです」とか「お客さんに喜んでもらえることが嬉しいから」といった返答をしてくれます。
これが中食だと「人前に出なくても済むから」とか「料理を作ることが好きだから」といった返答が戻てきます。
またそういった面接を経て採用したアルバイトの教育にも外食と中食の違いは鮮明に出ます。どちらも基本的な店の運営方法についてオリエンテーションを行うまでは同じです。
その次にとりかかる新人教育が異なります。外食だと、例えばベーカリーレストランではパンサービス(パンのお代りを提供したり、焼き上がったパンをお勧めして回る)を教えます。
何よりパンを皿に置いてもらったお客様は必ずと言っていいほど、笑顔で「ありがとう」と返してくれます。
この笑顔と感謝の気持ちを受け取ると新人アルバイトさんは「この仕事って楽しい、もっと色んなサービスが出来るようになりたい」と強く思うようになり、自ずとサービスマインド、いわゆるホスピタリティが育まれるのです。
【中食の場合】
中食では何と言っても、安全意識が最も優先されます。調理後、すぐに商品がテーブルに並んで召上って頂く外食と比べ、弁当や総菜を購入して持ち帰って家や会社で食べる中食とは食中毒リスクが全く異なります。
10分、15分で召上って頂けるのならまだしも、高齢者や女性等、食の細いお客様は持ち帰ってすべて食べきらずに翌日の朝にまた食べるといったことも起こります。
防腐剤を使用していない中食FC店の多くは2時間や3時間といった消費期限をつけています。しかし、それを気にすることなく、翌日でも平気で召し上がります。
また炎天下、スポーツイベント等で役員の方が弁当を買い出しに来られて、試合の合間まで、炎天下の中で何時間も放置されるといったリスクもあります。
そういったリスクがある中食では、必然的に安全意識が高まり、まずは食中毒対策から教育するというのがセオリーです。手洗い、消毒に留まらず入店前の検温、付着物の除去など、やるべきことがたくさんあります。
外食も近年では消費者の安全志向の高まりやコロナウイルスのまん延等もあり、安全対策は強化さる傾向にありますが、両方を経験した私の眼には今もってなお、歴然とした差があるように思います。
ピークタイムが違うことで、優先順位も異なる
外食と中食どちらもランチタイムなどは一斉に入店ラッシュがありピークタイムはごった返しています。
しかし、よく見みるとテーブルサービスの外食は一旦満席になれば、それ以上お客さんは入れないので、満席になるまでの料理を提供し終えれば意外と平静を取り戻し、キッチンでは夜の仕込みをはじめたり、後片付けにとりかかったりしているケースがあります。
満席になった後は1組帰られたら、1組お待ちのお客さんをご案内するという流れになるので、キッチンでは半分のスタッフしか調理してなくて、あとのスタッフは別の仕事をしているということ多いと思います。
私が担当した和食レストランチェーンでは「ピークタイム仕込表」という帳票があり、これは満席になって料理提供がひと段落した時に使う仕込作業リストでした。
一方の中食は違います。繁盛店であればあるほど、怒涛の入店ラッシュは続きます。満席による上限がないので、レジで注文を受けるスタッフが受注をストップしない限り容赦なくキッチンに注文が流れ込みます。
ただし、注文カウンターに人だかりができていると入口の外からその状態を見て入店せずに別の店に行くお客さんもおられます。
外食で料理の提供が滞ればその場でクレームになり2度と来店して頂けない可能性がありますが、中食の場合、入店せずに帰られたお客さんは特にクレームにはならず、次回の来店にもあまり影響を及ぼしません。
この点でも店のスタッフが何に力点を置くかが分かります。外食は提供遅れのクレーム対応やごはんのお代り、食後のコーヒーの提供など店内におられるお客さんに気配りします。
一方、中食は上限なくオーダーが入り続けるので、商品提供に全力を集中します。
外食の最大のサービスは美味しい料理を適正価格で気持ちよく提供すること、
中食は美味しい弁当を適正価格でより早く提供することに帰結します。
個人特性や企業風土に合うFC選択が大切
このように様々な違いがある外食と中食ですが、外食の中においてもファストフード、ファミレス、高級レストラン、居酒屋など、それぞれ特色があります。
個人(又は企業)がチャレンジしてみたい業態はどういったものでしょうか?
収益性や初期投資額、FCチェーンの規模等、机上の数値を比較して加盟先を決めるだけでなく、実際に現場に赴き店舗や本部の社員の姿勢を感じ取って、それぞれの個性にマッチするFC本部や業種・業態を見極めたいものです。
飲食業ではありませんが、日本一のFCチェーンと言っても過言ではないセブンイレブンの加盟者でさえ、深夜営業や値引販売等の営業方針が対立して訴訟沙汰になっています。
ああいったこともそもそも本部と加盟者の価値観が合っていなかったと思います。
FC本部事業に20年以上携わって、確信をもって言えることは、
FC本部の理念や方針、業態のサービススタイルなどにどれだけ共感できるのか、それをFCの選択基準にしている加盟者は成功する確率が高いということです。



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