同じ飲食業でも外食と中食では収益構造が大幅に異なります。手元に残る利益額は同じでも、コストの中身は別物です。
加盟するひとの性格や企業であれば組織風土にあった業種・業態やFC本部を選択することが重要だといったお話を前回までしました。
外食と中食の収益構造
利益を上げられなければ事業の継続も生活の維持さえできなくなります。そこで今回は収益構造に着目します。
今回も相談者とのやりとりを交えながら収益構造を紐解いていきます。
相談者
FC本部のパンフレットに収益シミュレーションって欄がありますが、手元に残る利益が一体どれくらいになるのか、全く想像もつきません
わたし
収益シミュレーションの下部に「あくまでも目安であり実際の収支を保証するものではありません」といった注記があると思います。加盟する側も注意が必要です
FC本部から示される収益シミュレーション
FC本部から提供される収益シミュレーションや実店舗の収支から何を読み取り、加盟の意思決定にどのように役立てればいいのか、まずはその基本的な読み解き方を見ていきましょう。
様々な利益と経費の比率について
おそらく、どこのFC本部も事業シミュレーションのひな形は損益計算書(P/L)がベースになっていると思います。

図示した「売上高」はFC加盟店にとって店舗の売上がそのまま売上高になるケースが殆どだと思います。
「売上総利益」は売上高から原材料などの原価を差し引いたものですが、外食と中食ではその中身が大きく異なります。
外食は業態(レストラン、居酒屋、焼肉、ファストフード等)にもよりますが原価は売上比でいうと25%~35%のところが多いと思います。
※回転寿司等、原価率が高い状態もあります
一方、中食は50%程度が多いように思います。なぜこれほどの差があるのかというと、中食は弁当や総菜を入れる包材や箸等の原価が含まれていたり、スーパー等の惣菜と競合するので、どうしても原価高になるという事情もあります。
そうすると原価の差がこれほど大きいと外食の方が有利だと思われるかも知れませんが、そうとも言えません。
中食はサービスにかかる人件費や店舗内装費、客席分の賃料等の販管費が低く抑えられるというメリットがあり、原価が高い分は相殺されます。
「営業利益」は売上総利益から販管費を差し引いたものです。店舗営業にかかる人件費や賃料、設備の償却費、水道光熱費等が販管費にあたります。
この利益の段階で外食と中食の平均的な利益率は似通ってきます。先ほど説明した通り、中食の原価が高い分は販管費の低さと相殺され外食と同レベルの営業利益となります。
外食と中食の収益構造の違い(月間)

※特別損失は税金等なので、外食、中食での違いはないものとしています。
また「財務損益」のところの費用(金利等)も中食が低めになっています。これは初期投資費用が2分の1程度なので、借入に伴う金利負担が少なくなるからです。
FC本部に支払うロイヤリティの違い
フランチャイズの場合は、販管費の差は上記したものに加えてFC本部に支払うロイヤリティの違いもあります。
外食FCでは売上高に対して5%程度のロイヤリティを徴収するところがあります。本部指導料や看板使用料等の対価です。
中食FCでは1%程度のところや販売促進費として1%徴収しているといった形で外食より低い傾向にあります。
リスクとリターンの関係(イメージ)
外食と中食の収益構造の違いを分かり易く比較するために単純化しましたが、実際の数値になると、外食の方が売上高が高く、初期投資額の差ももっと大きくなります。
よって営業利益率は同じ10%だとしても、営業利益額では外食の方が大きくなる傾向にあると思います。
しかし、赤字が膨らんだときは外食の方が初期投資による固定費が大きい分、下振れするのでリスクも大きいということになります。
大雑把にみると、外食がハイリスク・ハイリターン、中食はローリスク・ローリターンになる確率が高くなります。
別の視点からも同様のことがいえます、それは景気変動です。外食は単価が高い業態ほど景気の影響を受けます。
中食は日常食なのでデラックス弁当がのり弁当に代わることがあったとしても、食べないという選択はよほどのことがなければないので、景気の変動をあまり受けません。
それよりも節約志向が高まると外食から中食へのシフトが起こるので、逆に不景気が追い風になることもあります。よって、こういう面でも中食はローリスクといえます。
収益構造を判断材料のひとつへ
相談者
収益構造が異なるとリターンやリスクも変わってくるんですね、私は慎重派だから中食向きかも知れません
わたし
加盟される方の性格やライフプラン、家族構成、資金状況などにより総合的に検討されることをお勧めいたします



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